本ガイドでは、ルーレット戦略の評価および期待値・分散の算出にあたり、複数の数理アルゴリズムとシミュレーション技法を使用しました。本節では、それらの技術的根拠と実装方法について詳しく解説します。
期待値と分散の計算方法
各ベットタイプに対する期待値(EV)は、次の式を用いて算出されます。
EV = Σ (勝利確率 × ペイアウト) - (敗北確率 × ベット額)
例えば、赤に1ドル賭けた場合のEV(アメリカンルーレット)は以下の通り:
EV = (18/38 × 1) + (20/38 × -1) = -0.0526(= 約-5.26%)
分散も同様に、結果ごとの偏差の2乗を重みづけ平均することで計算されます。
シミュレーションによる戦略評価
モンテカルロ法を用いて、数万回〜数百万回のスピンを仮想的に実行し、戦略ごとの収支分布を評価。Pythonで以下のような実装を行いました:
import random
def simulate_strategy(strategy, spins=1000000):
balance = 0
for _ in range(spins):
bet, payout = strategy()
if random.randint(1, 38) <= 18: # 赤が出たと仮定
balance += payout
else:
balance -= bet
return balance / spins
確率分布と統計的手法
ベット結果の統計分布には、ベル型の正規分布が現れる傾向が見られ、中心極限定理を応用して予測精度を向上させました。また、信頼区間を構築し、収支のばらつきに対する誤差の範囲を示しています。
利用ライブラリと環境
- Python 3.11 + NumPy, pandas, SciPy
- Jupyter Notebookによる可視化
- GitHub上に構築されたオープンソースのルーレット戦略検証フレームワーク(著者作成)
これらの技術により、理論と実践のギャップを検証し、より科学的な戦略評価を実現しています。
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