ギャンブルの合法化が進む中、個人および事業者に求められるのが「責任あるギャンブル(Responsible Gambling)」の実践です。本節では、ギャンブルを楽しむ上での倫理的行動規範や、プレイヤー保護を目的とした制度的枠組みについて解説します。
責任あるギャンブルの基本原則
- 自己管理:あらかじめ設定した予算内でのみプレイする。
- 時間管理:長時間の連続プレイを避ける。
- 現実認識:ギャンブルは娯楽であり、収益を目的としない。
- 感情の制御:怒りや失望、勝利の興奮に影響されず冷静に行動する。
自己制限ツールとプレイヤー支援
多くの合法カジノおよびオンラインプラットフォームでは、以下のような自己制限機能を導入しています:
- 入金・ベット・プレイ時間の上限設定
- 一時的/永久的な自己排除(Self-Exclusion)
- ゲーム履歴や利用状況の可視化
事業者側の義務と責任
ギャンブル事業者は、プレイヤー保護のため以下を遵守することが義務づけられています:
- 年齢確認と未成年者排除
- ギャンブル依存に関する情報提供
- 過度な広告・誇大表示の禁止
- 問題プレイヤーの識別とサポート提供
公的機関・NPOによる支援体制
多くの国ではギャンブル問題に対応する公的・民間団体が存在します。例として、イギリスのGambleAware、アメリカのNCPG(National Council on Problem Gambling)、日本のギャンブル依存症対策センターなどがあり、カウンセリングや電話相談、治療プログラムを提供しています。
国際的な指針とISO規格
責任あるギャンブルに関する国際基準として、ISO 22458(消費者に配慮したサービス提供規格)などが存在し、これに準拠することでギャンブル提供者は倫理的な運営を証明できます。
第6章 第3節「テクノロジーと依存症対策:AIと監視システムの関与」へ進む。