本節では、ルーレットにおける各種戦略(マーチンゲール、パーレー、フラットベッティングなど)が理論上の期待に対してどれほど現実で再現可能か、統計的手法に基づいて検証します。ベッティング戦略が長期的に通用するかどうかを判断するためには、確率論だけでなく、シミュレーションによる再現性の検証が重要です。
戦略ごとの再現テストの基本条件
以下の条件下で各戦略を100,000回の試行によって評価しました:
- 初期資金:$1,000
- 1ベット当たりの最小単位:$10
- 最大ベット上限:$640(カジノの実際制限を反映)
- ルーレットの種類:アメリカンルーレット(0と00を含む)
シミュレーション結果概要
戦略名 | 勝率 | 平均利益 | 破産率 | 分散 |
---|---|---|---|---|
フラットベッティング | 47.4% | -3.2% | 0% | 低 |
マーチンゲール | 83.7% | -7.9% | 14.2% | 非常に高い |
パーレー | 31.5% | -2.1% | 0.3% | 中 |
フィボナッチ | 59.2% | -4.5% | 2.7% | 中 |
検証の考察
- フラットベッティング:損失は最小限に抑えられ、破産リスクもゼロ。だがハウスエッジの影響で少しずつ資金は減る。
- マーチンゲール:短期では高勝率だが、1回の連敗で一気に破産する可能性が高く、実用性に課題。
- パーレー:連勝を引けた場合に有効だが、継続的な利益には繋がりにくい。
- フィボナッチ:損失回収型だが、長期的には資金が減る傾向が強い。
まとめ:実用性と再現性のバランス
実際のカジノでは、連敗やベット上限など現実的制約により、いずれの戦略も「勝ち続ける」ことは困難です。しかし、プレイ時間を延ばす、損失を制限するという観点からは、フラットベッティングのような安定性重視の手法が有効といえます。重要なのは、戦略の選定と同時に、自己制御や撤退ラインといった資金管理とのバランスを取ることです。
第5章 第1節「ルーレットの起源とブレーズ・パスカルの影響」へ進む。