各ベットタイプにおける期待値と分散

ルーレットにおける各ベットは異なる配当率と勝率を持ち、これらを数学的に分析するためには「期待値」と「分散」の理解が不可欠です。本節では、主要なベットタイプごとにこれらの数値を算出し、プレイヤーにとってのリスクとリターンの違いを明確にします。

期待値とは何か?

期待値(Expected Value)は、ある賭けを何度も繰り返したときの平均損益を意味します。ルーレットにおいて、すべてのベットは長期的にはカジノが利益を得る構造になっており、すべての期待値は基本的にマイナスです。

期待値の計算式:

期待値 = (勝つ確率 × 勝ったときの利益) + (負ける確率 × 負けたときの損失)

主なベットタイプの期待値

  • ストレートアップ(単一数字):
    勝率 = 1/37、配当 = 35倍(ヨーロピアン)
    期待値 = (1/37)×35 + (36/37)×(-1) ≒ -0.0270(-2.70%)
  • 赤/黒、奇数/偶数:
    勝率 = 18/37、配当 = 1倍
    期待値 = (18/37)×1 + (19/37)×(-1) ≒ -0.0270

すべての単純ベットはヨーロピアンルーレットで一律 -2.70%、アメリカンルーレットでは -5.26% の期待値になります。

分散とは何か?

分散(Variance)は、結果のばらつきの度合いを示す指標です。高い分散を持つベットは、大勝ちや大負けが発生しやすいことを意味し、低い分散のベットは結果が安定しています。

たとえば:

  • ストレートアップ:勝率が低く、当たれば高配当 → 高分散
  • 赤/黒:勝率が高く、配当は1倍 → 低分散

期待値と分散のバランス

すべてのベットで期待値が等しい(ヨーロピアンで -2.70%)中で、どのベットを選ぶかは、分散とプレイヤーの好みによって異なります。

  • ハイリスク・ハイリターン:ストレートアップやスプリット
  • ローリスク・ローリターン:赤/黒、奇数/偶数

分散の理解は、資金管理やプレイスタイルの選定にも役立ちます。

まとめ:数値分析を活用した賢いベット選び

ルーレットでは、どのベットも統計的にはマイナスの期待値を持っています。しかし、そのリスクプロファイル(分散)を理解することで、自分の好みや目的に合った戦略的なプレイが可能になります。


第3章 第2節「確率の独立性とギャンブラーの誤謬」へ進む。