ルーレットのベット戦略が実際にどのような結果をもたらすのかを検証するために、統計的シミュレーションであるモンテカルロ法が用いられます。本節では、代表的な賭け戦略を対象に、数千〜数万回のシミュレーションを行った結果を通じて、長期的な収支の傾向とリスクを可視化します。
モンテカルロ法とは
モンテカルロ法は、ランダムな試行を繰り返し行い、統計的な結果を観察することで理論値や予測を導く手法です。ルーレットでは、様々な戦略に基づいた賭けを仮想的に繰り返すことで、収支の平均値、最大ドローダウン、破産確率などを評価できます。
シミュレーション対象の戦略例
- フラットベット:常に一定額を賭ける最もシンプルな戦略
- マーチンゲール法:負けたら賭け金を倍にしていく戦略
- ダランベール法:負けたら+1、勝ったら-1する加減法
- フィボナッチ法:フィボナッチ数列に従って賭け金を調整
主な評価指標
- 期待収支:シミュレーション全体の平均利益または損失
- 破産率:所持金がゼロになる確率
- 最大ドローダウン:最高点から最低点までの資金減少幅
シミュレーション結果の概要
シナリオ:初期資金$1000、1スピンごとに$10賭け、1万試行、1000シミュレーション反復
戦略 | 平均収支 | 破産率 | 最大ドローダウン |
---|---|---|---|
フラットベット | -270ドル | 0% | 300ドル |
マーチンゲール法 | -310ドル | 43% | 1000ドル(全損) |
ダランベール法 | -280ドル | 8% | 550ドル |
フィボナッチ法 | -295ドル | 15% | 700ドル |
結果の考察
すべての戦略に共通しているのは、平均的に損失が発生している点です。これはルーレットにハウスエッジがあるためで、どの戦略を使っても長期的な勝利は困難です。また、リスクの高い戦略(マーチンゲールなど)は、短期の利益があっても破産リスクが非常に高いことが確認できます。
まとめ:戦略選択の現実と限界
モンテカルロ法によるシミュレーション結果から、すべてのベットシステムにはリスクと限界があることが明らかになります。勝ちやすさや一時的な利益に惑わされず、統計的な事実をもとにした冷静な判断が必要です。
第4章 第1節「マーチンゲール法の構造と数学的限界」へ進む。